遺産分割を弁護士に依頼する
メリット・デメリット
遺産分割で揉めている場合,弁護士に依頼すべきか悩まれる方もいらっしゃいます。そこで,これまで様々なご家族の遺産相続のお手伝いをさせていただいた経験をもとに,遺産分割を弁護士に依頼するメリットとデメリットを整理した上で,どのような場合に弁護士に依頼した方が良いのか,フラットな立場で解説します。
遺産分割を弁護士に依頼するメリット
遺産分割を弁護士に依頼するメリットとして、次の事項が挙げられます。
相続財産の分け方について適切なアドバイスが得られる(法的な権利を踏まえた公正な遺産分割ができる=遺産相続で損をしない)
遺産分割協議の場面では,各相続人の法定相続分を踏まえて,財産を公平に分けることになります。法定相続分の計算は,現存する相続財産の金額や相続人の構成に加えて,生前のお金の動き(特別受益)や,各相続人の被相続人に対する貢献度(寄与分)なども踏まえて行う必要があります。
特に,不動産のような分割が難しい財産がある場合,不動産をどのように分けるか,現物を取得しない当事者が代償金をいくらもらうべきかを検討する必要があります。
弁護士に相談すると,民法の規定を踏まえつつ,必要に応じて財産評価なども併せて行ったうえで,法的な権利を踏まえた公正な遺産分割が行えるでしょう。これにより,後々に遺産分割でのトラブルを防ぐことができます。
また,取得したい財産がある場合など,遺産分割を進める際に自分の希望を反映させることができるかどうか,事前に有利不利の判断を行うことが可能になります。このアドバイスは非常に有用になる可能性があります。
遺産分割に関する後のトラブルを防げる
遺産分割が完了した際には,遺産分割協議書を作成して,相続人間の合意内容を明確化しておく必要があります。遺産分割協議書では,現存する相続財産のすべてについて,誰がどの財産を承継するかを明快に記載しなければなりません。遺産分割協議書の記載内容が曖昧であったり,記載すべき相続財産が漏れていたりすると,後に相続人同士のトラブルの原因になるので注意が必要です。
弁護士に相談すると,遺産分割協議書を不備なく作成し,後に遺産分割の問題が蒸し返されるなどのトラブルを防止できるでしょう。
遺産分割調停・審判・訴訟などに発展した場合も安心
遺産分割協議が紛糾して合意に至らない場合,調停・審判によって遺産分割の方法を決定します。また,遺言書で不公平な遺産配分が指定された場合は,訴訟によって「遺留分侵害額請求」(民法1042条1項)が争われることも珍しくありません。
早い段階から弁護士に依頼すると,調停・審判・訴訟といった法的手続きに発展した場合でも,戸惑うことなくスムーズに対応することができるでしょう。
弁護士が代理人となり,兄弟や他の相続人と直接話をしなくても済むようになる
相続人同士で遺産分割協議を行うと,被相続人や相続財産に対する思い入れのあまり,感情的な対立に発展してしまいがちです。第三者・専門家である弁護士を間に挟むことで,親族間の感情的なぶつかり合いを防ぎ,冷静に遺産分割協議を進めることができます。その結果,遺産分割協議がスムーズに進み,早期にまとまる可能性も高まるでしょう。
相続に関する手続きを代行してもらえる=手続きのストレスが大幅に軽減される
相続では,遺産分割協議や公的書類の取得,各財産の名義変更など,対応しなければならない作業が膨大に発生します。弁護士に依頼すると,相続で必要となる手続きを全面的に代行するので,相続人の方のご負担は大きく軽減されます。また,遺産分割協議における交渉も弁護士が代行することで,親族同士で財産に関する話し合いをしなくて済むことも,精神的なストレスの面からはメリットといえるでしょう。
相続専門の税理士・司法書士等の紹介をワンストップで受けられる
相続では,相続税申告や相続登記など,税理士・司法書士等のサポートを受けるべき場面が発生する可能性があります。遺産相続を多く扱っている弁護士では,相続手続きへの対応に当たって,税理士や司法書士などの隣接士業と連携しています。そのため,法律事務所を一つの窓口として,ワンストップで総合的に相続手続きのサポートを受けられることも大きなメリットといえるでしょう。
遺産分割を弁護士に依頼するデメリット
遺産分割を弁護士に依頼するのにはデメリットと言えるものもあります。そのため、メリットとデメリットを比較衡量して、依頼するかどうか検討する必要があります。
弁護士報酬がかかる
遺産分割を弁護士に依頼すると,弁護士報酬がかかります。弁護士報酬は遺産総額や交渉・調停・審判などの必要な業務内容によって異なり,弁護士報酬を相続人で負担することになります。法律相談料,着手金,成功報酬といった各項目について,弁護士事務所によって報酬規定は大きく異なります。特に,遺産金額が大きい相続の場合,遺産金額の多寡によって成功報酬率を高くしているケースも見られ,弁護士報酬が多額に発生するケースも少なくありません。また,解決まで時間がかかることが多く,着手金が発生する場合は,解決金が入る前にご自身で資金を持ち出して事前に支払う必要があります。
日比谷ステーション法律事務所では,遺産の多い事件においても弁護士報酬が高額にならないように,相続分の価値の6.6%(税込)と非常に低く設定しております。また,解決まで長期間を有することを考慮し,事前の着手金をゼロとして,解決まで資金負担が生じないよう最大限の配慮をしております。
遺産分割に強い弁護士を探す必要がある
弁護士の活動領域は幅広く,刑事事件の弁護士のほか,会社などの企業法務を専門とする人,離婚や相続などの親族問題を得意とする人など,多くの専門分野に分かれています。例えば,刑事事件を専門に扱っている弁護士でも遺産相続問題に関する仕事を引き受けることはできますが,遺産相続問題に関する知識やノウハウは,普段からそのような問題を扱っている弁護士に比べて圧倒的に少なく,最新の情報にも疎い可能性があります。この点,遺産相続問題を解決する際には,遺産相続問題に強い弁護士を選ぶことが重要になり,ご自身で相続問題に強い弁護士を探してご依頼する必要があります。
遺産分割を弁護士に依頼した方が良いケース
次のようなケースでは、遺産分割を弁護士に依頼した方がメリットが大きく、遺産分割に弁護士が必要と言えます。
- 他の相続人の中に顔を合わせたくない人がいる
- 他の相続人の中に話し合いに応じない人がいる
- 遺産分割の割合でもめている
- 不動産の相続で誰がどの部分を相続するのか決まらない
- 収益物件の賃料を分配してもらえない
- 二世帯住宅に居住しており,退去しようとしない相続人がいる
- 他の相続人が遺産を使い込んだ疑いがある
- 他の相続人に生前贈与の疑いがある
- 遺言書により遺留分を侵害されている
- 遺言書が本物かどうか疑わしい
- 被相続人を生前介護していたので遺産を他の相続人より多めに受け取りたい
- 自分の相続分が明らかに少ない(不当な割合である)
- 相続人に想定外の異母兄弟が現れた
弁護士へ相談すべき6つのタイミング
遺産分割を弁護士に相談するタイミングは以下と言えます。
- 他の相続人や税理士などから提示された分割案に疑問があるとき
- 被相続人が亡くなった段階で,相続人が多いことがわかっている
- 自宅などの不動産の分け方についてもめることが予想されるとき
- 相続財産の多くがすでになくなっていることがわかったとき
- 内縁者が現れて相続分を主張しているとき
- 相手側が弁護士を雇ったとき
遺産相続の問題解決を目指す方へ
遺産の内容や紛争の経緯,依頼者のお気持ち,依頼者の置かれた状況を踏まえ総合的に検討し,最適な解決方針を初回法律相談時にご提案いたしますので、お気軽にご相談下さい。 03-5293-1775