不動産の時価評価を譲らず,一部の不動産を売却して解決した事例
日比谷ステーション法律事務所にご相談いただいた遺産分割の解決事例についてご紹介します。
遺産分割の解決事例の概要
案件概要
トラブルの内容 | 不動産の評価額 |
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解決方法 | 遺産分割調停 |
解決までの期間 | 1年10ヶ月 |
財産の内容 | 現預金:4千万円 不動産:6億円 株式等:1千万円 |
遺産分割トラブルの内容
不動産の件数が多く,収益物件や当事者が居住している物件等,使用状況も様々であり,取得希望の調整や評価合意の調整が問題となりました。
先方は不動産の大部分を被相続人の生前から管理していたこともあり,現物での取得を希望し,当方も異存はなかったため,多くの不動産について,先方が当方に代償金を支払う代償分割が行われる見通しとなりました。これにより不動産の評価が必要となりましたが,評価方法を巡り双方の意見が対立しました。
相手方の主張・対応
先方は代償金の支払いを少なくするため,不動産を時価ではなく,相続税路線価により評価すべきと主張しました。
特に,時価により評価すると,代償金の支払いには遺産を一部売却せざるを得ず,被相続人の意向に反する旨の主張も合わせてされました。
日比谷ステーション法律事務所の対応・主張
弊事務所の対応としては,先方の情緒的な主張を一切認めず,原則どおり時価による評価を徹底して主張しました。
解決のポイント(弁護士による解説)
不動産の評価方法
遺産分割において不動産を評価する場合には,相続税申告とは異なり,時価によるべきとされています。ある程度流動性のある物件については,不動産業者の査定書等を参考に評価額を協議し,まとまらければ裁判所の選任する不動産鑑定士の鑑定に従うことになります。ただし,鑑定には少なからずコストがかかるため,協議により評価の合意ができる場合が多いといえます。
遺産の一部売却による代償金の確保
遺産に占める不動産の割合が大きく,預貯金や有価証券が少ない場合,不動産を取得する当事者が代償金を支払えないことも少なくありません。そのような場合には,調停の手続中に一部の不動産を売却することで,代償金を確保する方法がとられることがあり,なるべく高く売れるよう,当事者全員で協力することになります。
調停申立てのタイミング
本件では,調停申立て前に,裁判所外での交渉を3か月程度行いました。ところが,上記のように不動産の評価額を巡る争いで根本的な見解の相違が見たれたため,協議での解決は難しいと判断し,早期に調停申立てに踏み切りました。
遺産相続の問題解決を目指す方へ
遺産の内容や紛争の経緯,依頼者のお気持ち,依頼者の置かれた状況を踏まえ総合的に検討し,最適な解決方針を初回法律相談時にご提案いたしますので、お気軽にご相談下さい。 03-5293-1775