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不動産の遺産分割

不動産の遺産分割協議を行う意義

遺産に不動産が存在して,遺産分割協議が行われない状態では,その不動産は相続人全員での遺産共有の状態になってしまいます。

例えば,相続人が3人にて,それぞれ3分の1ずつの相続分があるとすると,遺産の中に不動産が一つある場合,相続人3人で3分の1ずつの共有になるのです。

相続人3人で仲良く共有したままでいられるのでしたら,直ちに問題が生ずるわけではないのかもしれませんが,相続人の一人がその不動産を全部欲しがる場合や,その不動産が収益物件であり,その管理方法に意見の一致が見られない場合には,遺産分割協議をして,単独所有にする必要が出てきます。

また,遺産の不動産が複数ある場合,相続人がいずれも不動産Aは欲しいけど,不動産Bはいらないという意見となった場合,不動産Aは誰のものにするのかについて対立が生じます。

そこで,不動産の遺産分割をどのようにしていくか考えていく必要があります。

不動産が絡んで遺産分割で揉める5つのパターン

不動産が絡んで遺産分割で揉める5つのパターンは以下の通りです。

不動産が絡んで遺産分割で揉める5つのパターン

  1. 複数の不動産があるが,相続人間でどの不動産を取得するか意見が一致しない
  2. 相続人などが住んでおり,その者が取得を希望するものの金がない
  3. 現金と不動産があり,不動産は長男が取得し,それ以外は次男が取得する方向で話が進んでいるが,代償金の額で話がまとまらない
  4. 遺産に広大な不動産があるが,これを分筆して相続人間で分けたい。
  5. 収益物件があるが,相続人1人が管理しており,賃料の分配もされない

1.不動産の取得について意見が一致しない

不動産の取得について相続人間で意見が一致しない場合には,一番揉めることになります。
人気のある不動産については,相続人がいずれも欲しがり,人気のない不動産については,誰も欲しがらないことになります。誰も欲しがらない不動産については,売却すればいいのですが,なかなか売却できないような価値の低い物件で,売却コストの方が多くかかる場合には,どのように負担させるかについても揉めることになります。いずれにせよ,協議による解決は困難であり,早めに遺産分割調停の申立を行う必要があります。

2.居住者がいる

遺産である不動産に相続人の一人が長年居住しており,その相続人が不動産の取得を希望するが金をもっていないという場合には,その相続人は現状維持を希望するため,なかなか話が前に進みません。このような場合には,早めに遺産分割調停の申立を行い,裁判所を通じて話し合う方が前に進むことはあります。どうしてもまとまらない場合には遺産分割審判になりますが,共有の審判がでてしまうと,その後,共有物分割請求を行うことになります。

3.不動産価格の評価

長男に不動産,次男にそれ以外の資産のように,何を誰に相続させるかは決まっているが,不動産の評価で揉めるというケースは非常によく見られます。不動産の評価だけの問題なので,協議だけで解決できそうと考える方もいらっしゃいますが,これでなかなか前に進まないことは多く見られます。このような場合でも,遺産分割調停の申立を行い,裁判所を通じて解決を図る方が解決につながります。

不動産の時価評価を譲らず,一部の不動産を売却して解決した事例はこちら >

4.不動産の現物分割

不動産を分筆して相続人間で分けるという方向で話合いが進む場合には、時として非常に多くの問題に直面することがあります。
そもそも測量が未了の場合には,まずは測量して,相続人間で共通の認識が得られる図面を作成する必要があります。この場合に,隣地との間で筆界が確定していない場合には,隣地との間での筆界確定を行う必要があります。この筆界の確定はスムーズに行けばいいのですが,隣地の所有者との合意が得られない場合には,筆界確定制度や境界確定訴訟を行うことになりますが,非常に時間がかかり,費用もかかります。隣地との筆界が確定して,共通図面ができた場合でも,相続人間でどのように分けるかについて話をまとめる必要があります。また,相続人間で取得する面積に差が出る場合には,代償金の問題も生じ,代償金の額をどうするかで,不動産の評価の問題も生じます。

5.収益物件

収益物件があるが,相続人1人が管理しており,賃料の分配もされない場合,遺産分割の他に賃料の請求をすることになります。これは遺産分割協議の中で話合いができればいいのですが,それができないとなると,遺産分割とは別の訴訟を提起して解決を図ることになります。

収益物件の遺産分割詳細を見る >

不動産の分割方法

不動産の分割方法には3種類あります。なお,不動産を分割せずに共有のままにする方法もあります。

そのままの形で分割する「現物分割」

まず,現物分割とは,遺産である不動産の土地が広く,土地を法定相続割合と同じ割合に「分筆」して各相続人が取得したりします。このような現物分割をするケースは少ないのですが,もし「分筆」をするとなると,隣地との筆界が確定している必要があり,筆界確定の手続をする必要があります。筆界確定は,土地家屋調査士にお願いすることになりますが,隣地の所有者とスムーズに確定ができれば,それほど時間はかかりませんが,筆界の確定に揉めると,筆界特定制度や境界確定訴訟が必要となり,非常に時間がかかります。

代償金を支払って解決する「代償分割」

次に,代償分割は,不動産を1人の相続人が取得し,他の相続人に法定相続割合に応じた代償金を支払って解決する分け方です。たとえば3,000万円の価値のある不動産があり,3人の相続人(子)が相続するとしましょう。一人が不動産の全部を相続し,他の相続人2人にそれぞれ1,000万円ずつ(法定相続分である3分の1)の代償金を払って解決します。代償分割は,代償金の額が決まり,代償金が用意できれば,成立しやすいですが,代償金の額を決めるまで揉めることが多いのが特徴です。不動産の場合,不動産の価値をどう評価するかが問題です。まずは,不動産会社の査定書を複数持ち寄って協議することから始めます。また,不動産の取得を望む相続人に代償金の支払能力がない場合には,代償分割が成立しない可能性は高くなります。

売却したお金を分け合う「換価分割」

換価分割は,不動産を売却して売却金を相続人間で分け合う方法です。相続人たちが協力して不動産を売って諸経費を差し引き,手元に残った金額を法定相続割合に応じて分配します。たとえば3,000万円の不動産があって3人の子どもが相続するとき,不動産が3,000万円で売れて諸経費が300万円かかったとします。すると残りの2,700万円を子ども達が3分の1ずつにわけるので,全員が現金900万円ずつを受け取ります。換価分割の場合,不動産を売却してしまうため,不動産の評価の必要がなく,評価において相続人たちがもめるリスクはありません。ただし,不動産を売りに出して,どの買取希望者に対していくらで売るかについて意見が一致しないと不動産は売れません。売却時に,売却条件について相続人の意見が一致していることが必要です。

共有状態について

以上が不動産の遺産分割の方法ですが,単独所有にせずに,共有のまま遺産分割協議を成立させる場合もあります。また,遺産分割協議と遺産分割調停がまとまらず,遺産分割審判となる場合には,裁判所は共有のままにする審判を出すこともあります。しかし,共有状態を残すことは,共有者間で意見の不一致が生じた場合には厄介な問題が生じるため,遺産分割協議で共有状態を残す合意をすることはおすすめできません。仮に,現在の相続人間で仲良く共有していく合意ができたとしても,その後,相続人の子の世代では,親族関係が疎遠になり,トラブルが生じる可能性もあるので,できるだけ共有状態にはしないようにする必要があります。やむを得ず共有状態になった場合で共有状態を解消する場合には,共有物分割協議を行う必要があり,協議が行われない状態には,共有物分割訴訟を行って共有状態を解消する必要があります。

不動産の分割方法の選択

不動産は分割しにくいので,遺産に不動産が含まれていると相続時に揉めることが多くあります。どのように不動産を分割すべきか,相手とどのように交渉していくか,さまざまな想定をして計画を立てることも大切です。なお,弁護士に相談すると,適切なアドバイスを受けることができます。

相続不動産を手放す場合と受け継ぐ場合

相続不動産を手放す場合と受け継ぐ場合の違いについて解説します。

相続不動産を手放す場合の分割

「親が亡くなり実家が残されたが,相続人みんな所有するつもりがなく手放したい」というのは,遺産相続でよくみられるパターンです。
残された不動産を売却して売却代金を相続人同士で分け合う換価分割であれば,平等に分配できるのでトラブルも防ぐことができます。換価分割は,売却する段階でどこにいくらで売るかについて相続人間で意思が統一している必要があります。
また,不動産の売却は,ある程度の時間がかかり,物件によっては簡単に売却できないものもあります。相続税の申告という観点でいうと,原則として,相続発生から10カ月以内に相続財産を分割し,相続内容を確定させ,相続税の申告および納税まで済ませなくてはなりません。申告・納税の期限を過ぎると延滞税が加算されることになります。相続税の納税資金がなく,どうしても売却代金から捻出しなければならない方であれば,期限内に売却する必要が出てきます。すぐに買い手が見つからない場合には,売買価格を下げる必要も出てきます。遺産分割協議は早めに行い,できるだけ早期の解決を目指す必要があります。

相続不動産を受け継ぐ場合の分割

親と同居していた場合や家業で利用している場合など,残された不動産を特定の相続人が相続したい際には代償分割を選択することになります。
相続人の一人がある不動産の所有を希望し,他の相続人がその不動産の所有を希望しない場合には,揉める要素は少なくなります。ただし,その場合でも代償金をいくらにするかについて揉めることが多々あります。また,不動産を取得する相続人が代償金を十分に保有していないときに,どのように代償金を決済するかについて問題になることがあります。

特別受益と寄与分

他の相続人が生前に故人から贈与を受けている事実がないかを調査して,特別受益の主張することが可能なこともあります。

ただし,贈与の客観的証拠がないと特別受益の主張が認められない可能性が高くなります。

また,これまで,被相続人の療養看護に務めたり,家業の発展に貢献したりするなど,遺産の増加に貢献した場合には寄与分を主張することができる場合もあります。

ただし,寄与分の主張が認められるにはハードルが高く,認められたとしても大きな金額にならないことも多いので注意が必要です。

不動産の分割方法の意見が合わない場合は
早めに遺産分割調停の申立を

自分たちで話し合っても解決できなければ,家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てて,裁判所で話し合いを行います。

調停でも合意できなければ,「審判」という手続きに移行し,家庭裁判所が遺産の分け方を決定します。

親族間だから協議だけでスムーズに合意ができるだろうと思って,なかなか調停の申立をしたがらない方もいらっしゃいます。

しかし,遺産分割は,総論で話合いによる解決していきましょうということが合意できても,各論で1点でも合意に達しない部分があると,結局,遺産分割協議自体が成立しないまま時間が経過してしまいます。

時間が経過していくうちに相続税の申告期限が来てしまいます。

協議で合意に達しそうもないと少しでも感じるようでしたら,早めに遺産分割調停の申立を検討した方がいいと思われます。

調停が不成立となり審判になると,裁判所が遺産分割内容を審判で決定します。

しかし,必ずしも相続人たちの希望通りの分け方にはなりません。

特に,不動産については,裁判所は基本的に「相続人たちに公平になるように(法定相続割合に応じて)分割する」ので,誰か一人に所有させるのではなく,共有の審判が出る可能性も高くなります。

しかし,不動産を共有とする審判が出ても,共有状態は残るので,これを単独所有にするまで抜本的な紛争解決にはなりません。

共有状態の解消には,共有物分割請求の手続が必要となり,協議が調わないと,改めて地方裁判所に訴訟を提起する必要があります。

遺産分割の審判が確定した後,共有状態となっている不動産について,相続人の一人が不動産全部を占有して使用収益をしていると,使用損害金の請求の問題も生じます。

使用損害金の請求は,共有物分割請求と併せて行われることが多いですが,適切な請求内容の確定には査定が必要であり,訴訟も弁護士に依頼する必要性が高くなります。

不動産の遺産分割協議で揉めている方へ

代表弁護士池田は,遺産分割に限らず,共有物分割問題,賃貸借を巡る問題など,これまで多くの不動産問題を扱ってきております。
このような幅広い知識と経験を活かして,遺産分割問題では,どのような解決が妥当なのかについて,依頼者の方のご希望をお聞きしつつ,
不動産をどのように分けるか,現物を取得しない当事者が代償金をいくらもらうべきかを検討していきます。
遺産の内容や紛争の経緯,依頼者のお気持ち,依頼者の置かれた状況を踏まえ総合的に検討し,最適な解決方針を初回法律相談時にご提案いたしますので、お気軽にご相談下さい。 03-5293-1775
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